設計指針 of sakuraokaarchi

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プランニングと基本的な構造について

 うちでは普遍的で流行に流されない、素朴で単純な家を造るつもりです。様々な住宅が在る中でいつの時代に見ても「どこにでもありそうだけど誰も変とは言わない」という事が実はすごいと思うようになりました。住まいはお引き渡ししてからお客さん自身が工夫を生んで楽しんだり、住みながら家を育ててくれる形を理想としています。

 地場の工務店に就職してから、様々なお客様に出会い、住まいづくりに関わってきて、デザイン優先で住環境を無視した家というのが、設計事務所に対するイメージでした。もっとお客様の立場から家をつくる設計事務所があってもいいのではないかという思いから、この事務所を立ち上げました。

 家を建てるということは、土地を造成したり構造や仕上げ材として木を使用したりと、少なからず自然をこわす行為だと思っています。せっかく自然から恵みをいただいて家を建てるのだから、20年
30年で壊される家ではなく、長く住まわれる家を建てることが建築に携わっている僕たちの仕事だと思います。
 北海道の厳しい気象条件で長く住む為には、従来の木造在来工法を改良した、構造・気密断熱性能・換気暖房計画・通風・デザインの全ての面で妥協しない設計、住んでから最小限のエネルギー消費で生活できる家、変化する家族構成などに対応できる設計が不可欠と学んできました。

 自宅兼事務所は、住まいづくりの参考にしてもらおうという思いと、自ら設計した家に住みながら使い勝手を勉強していきたいという思いで建てました。プランは背後の景色に溶け込むようにと高さを抑えたり、26.5坪と比較的小さい家ですが、1階と2階が空間でゆるくつながり、開放的で狭くても広く見えるような工夫をしています。出来るだけシンプルな暮らしをしようと、個室なども必要最小限の大きさで、水回りもまとめてひと部屋のようなプランニングになっています。
 プランニングの際は始めから一つ一つの部屋の大きさに拘るより、どんな風景を見て暮したいとか、家族と一緒に何をしたい、どんな暮らしをしたい、こんな趣味がある、普段どんな仕事をしていて家にいる時間はどれくらい、家族の中で大切にしている事などをお聴かせください。

 基本的に使う材料は安全性や長く使って安心感のあるもの、キズなども風合いになる家族の歴史も一緒に出てくるような質感を大事にしています。木・石・金属・土・紙など、後々直す事になっても手に入れやすい、下地材や身近な素材、自然素材に興味を持っています。
 構造は木造在来工法とツーバイ工法のあわせたもので、スパン(梁)の自由度が高く、合板等の面構造を組み合わせて強度を高めています。